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フェイ・グリムのいののレビュー・感想・評価

フェイ・グリム(2006年製作の映画)
4.1
約30度傾いた世界


30度傾いていると勝手に推定してみたけど、分度器持って角度ホントに30度なのか測ってみればよかった。30度くらい傾いた世界で(カメラが傾いている)、少し不思議。ハル・ハートリー作品観るのこれで6作品目。ここにきてようやく、作品観てる時にハル・ハートリーを意識せずに観られるようになった(それまでは頭のどこかでハル・ハートリー作品であることを意識して、気負った鑑賞をしてしまったんだと思う)。今作は(変な言い方だけど)ハル・ハートリー抜きにして面白かった。これは、前作「ヘンリー・フール」から数年後の話だったけど、前作と比較してどうのこうのといった整合性など全く気にすることなく鑑賞することができた。前作でヘンリーとたった1回やっただけで妊娠・出産したフェイ・グリムが今回の主人公。彼女がすんごくいい。前作とは違った角度から照らしてくれると輝き方はこんな風に違ってくるものなのね。ヘンリーとフェイとの間の少年ネッドもこんなに大きくなっちゃって。


むちゃくちゃな話だといったらそれまでだけど。映画が提示したものをそのまま受け入れることができたので、話がどこにどう転がっていったってわたしは大丈夫です。2006年制作当時の世界情勢を鑑みると、ハル・ハートリーがこの映画に込めた気骨の精神も伝わってくる。斜めっているこの世界で、最後、フェイ・グリムはまっすぐに立って、まっすぐに見つめている。



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メモ

・「シンプルメン」パケ写センターのボーダー女子エリナ・レーヴェンソンさんが今作にも登場。「ザ・フライ」のジェフ・ゴールドブラムさんも出演。


・サイモンがいつの間にかあの作業着ネームタグ付き 着てるのうれしい



※スコアは暫定的
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