メイプルわっふるG

ピラニアのメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

ピラニア(1978年製作の映画)
3.0
ピラニアの生物パニック。
兵器として生み出された殺人魚、暗号名"カミソリの歯"。ベトナム投入前に終戦。処分されたはずが強靭な種が生き延びて繁殖。

群れでわしゃわしゃと集ってくる光景は凄まじい。サメやワニの噛みつきと違い身体中至るところを齧られまくる。娯楽映画として見ると楽しいけれどリアルに考えるとかなりの恐怖。フィッシュ・スパで肉食魚がいるみたいな。

群がるのは濁った水の中だし瞬間的なカットばかりなのでピラニアの明確な姿は映らない。それが却って得体の知れぬ恐怖を煽るので、これは演出としても予算としても有りだと思う。

もっともピラニア以外の見せ場もしっかり盛り込まれている。爆走して宙を舞うボートやパトカー。ド派手な爆発は水上スキーやボートが三つ巴の衝突事故をしたのであってピラニア関係なし。

そして湖大好き米国人。ロスト・リバー・レイクの観光地オープン。施設をリサイクル運用して利益を上げようとするオーナー。生物パニックの定番をしっかり押さえている。

人間側の主人公は好奇心旺盛でうっかり属性の女性調査員マギー。それに巻き込まれるアル中ポール。
今回の惨事の元凶。指摘されてムッとしたり逆ギレしたり。
ドジっ子のような可愛いものではなく周りに迷惑や災厄を振りまく自己中ディザスター。博士や保安官の後頭部を鈍器で殴り「気絶させただけ」と嘯くあたり、本人気付かず死人が出てそうなレベル。

そんな主人公の印象を上書きすべく、後半にも新たなヘイト役がちらほら登場。
序盤からいた脳筋先生、リゾートプロデューサー、軍の大佐、女性博士などなど。
…全員思い返してもワーストはやっぱり主人公に帰結。殺人魚を開発したのは陸軍とはいえ、民間人に被害が出たのは主人公が不法侵入した挙げ句の暴挙だしなぁ。

これも"積極的"で"強い女性"が好まれる時代的なものだったのだろうか。だとすれば、このアイロニーまみれなキャラクターは風潮を逆手に取った悪戯心の現れにも思える。


鑑賞 2020.09.29 イマジカBS(録画)