ダイセロス森本

シックス・バルーンのダイセロス森本のレビュー・感想・評価

シックス・バルーン(2018年製作の映画)
4.6
フランコ家弟。デイブくんの作品です。薬物中毒の父親役を演じているんだけども、そのリアルさに、「本当にやってたことがあるんじゃないの?」って疑い始めてしまう出来。ヤクのリアルな恐ろしさを良く感じられる映画。

ボートの話と、現実に降りかかる彼女の周りの問題を、どう終わらせるのかな~と、たまにひやひやしたけど、結局このボートの話と彼女の家族の問題は「責任」と「助け船」だと思う。
主人公の女性はとてもしっかりしていて、やさしい。人を助けることを何とも思わず行っているから、きっと「船」になれる人物。でも、その船にのる人間が重すぎたら?。
彼女という船は、優しさで包まれているけれど、繊細で壊れやすい。沈みやすい船に乗った弟は、重すぎたんだよね。

離婚し、娘を引き取り、薬物中毒で、本当はやさしい人。
そんな弟がいたら、助けたくなる気持ちは分かる。
両親というトゲを抜けるのは、兄弟同士でしかできないことなのだとも思う。でも、それに何度も手を差し伸べた彼女「船」は、もういっぱいいっぱいだったんだよね。

薬物中毒の弟の心理状態、どうしてこうなったのかという背景は一切ないので、問題を知りたいと思っても、背景を知りたいと思っても情報がないのは残念。今回は彼ら家族の問題を少しだけ切り取って、彼女という船が乗客をすべておろしたというところまでしかわからない。

にしても、デイヴ・フランコ、本当にすごかったな…。


短い作品だけど、兄弟と、家族と、迷いと決断が繊細に描かれている映画だなあと感じた。結構、傑作だったりする。