GreenT

リッキー・ジャーヴェイスの人間嫌いのGreenTのレビュー・感想・評価

5.0
スタンダップ・コメディ大好きなのですが、最近のお気に入りはリッキー・ジャーヴェイスです。フィルマにスタンダップの感想を書けるってことを発見したので、ちょっと書いてみようと思います。

リッキー・ジャーヴェイスは映画に出てたりもするのですが、映画の方はそうでもなかったんですけど、ゴールデン・グローブの司会をしているのがすごい辛辣でめっちゃ面白かったんですよね。

特にメル・ギブソンをこき下ろしたことが有名なんですけど、ハリウッド、TVの局、ゴールデン・グローブ賞そのものまでこき下ろしているのに、5回も司会に任命されている(2010, 2011, 2012, 2016, 2020)ので、やっぱ視聴率が上がるんでしょうね。

今回のスタンダップでも、ゴールデン・グローブの司会した話をしていたけど、さらに辛辣なギャグで俳優たちをおちょくってましたが「いや、このネタはボツだったんだ」って言い訳がましいところが余計笑えるんですよね。

リッキーはエスチュアリー・アクセントと呼ばれる強いイギリス訛りで喋るんだけど、これが妙に可愛らしいと言うか、チャーミングで、この訛りで辛辣なことを言われるとそのギャップがまた可笑しい。

あと屈託のない笑顔で自分のギャグに自分で爆笑したりするので、それも好感度高い。

自分がすごい金持ちだってことを謙遜しないところが可笑しくて、彼がチャーミングだからもあるんだけど、やっぱり語る順番の構成とかタイミングが上手いんですよね。

あとそうそう、この人は途中でビール飲んでるんですよね。多分あれビールだと思う。ゴールデン・グローブの司会の時は、グラスでビール飲んでましたもん。メル・ギブソンを紹介したあとビール置いたまま退場しちゃって、取りに出てきたところがめちゃ可笑しかった。

今回はHumanity というお題で、でも「自分はヒューマニティは信じない」って言っているので邦題が『人間嫌い』になっていると思うんですが、この人は多分、「上っ面だけいい人ぶっている人をぶった切る」ってことをしたいんじゃないかなあと思う。

今回もピーナッツ・アレルギーの人を笑う話をしていたけど、「ファースト・クラスでいつも出てくるナッツを楽しみにしているのに、ナッツ・アレルギーの人がいるから中止になった」ことを怒る「嫌なお金持ち」を演じ、「ナッツにさらされたら死ぬような身体の人が、なぜそんな長生きして俺のファーストクラスに乗ってくるんだ!」って言って、さらにそれがツィッターで猛攻撃を受けるんだけど、その切り返しもめちゃくちゃ上手くて笑わされる。

あと、トランスジェンダーのケイトリン・ジェナーをおちょくるのですが、ケイトリン・ジェナーは、他のスタンダップでも良く出てくる人ですよね。やっぱ元々オリンピック選手としてすっごい有名で、みんなブルース・ジェナーだった頃のイメージが強い男って感じだから衝撃がすごいんでしょうね。

リッキー・ジャーヴェイスは特に、ケイトリンがまだブルースだった頃に人身事故を起こしているのに、「セレブの人身事故は有耶無耶にして、トランスジェンダーになったことを称賛する」世間を皮肉っているようでした。

最後のネタは自分の家族の話なんですけど、お母さんのお葬式で、牧師さんにわざと長男の名前を間違えて教えて、牧師のスピーチの間みんながクスクス笑い、長男が、最初は呆れていたのに結局笑い始めたって話がめちゃ可笑しい。最新のスタンダップ “Supernature” でも最後は家族の話で閉めているんですけど、この人の独特の世界観とかジョークは、家族から来ているんだなあって感じがする。
GreenT

GreenT