BATI

八つのBATIのレビュー・感想・評価

八つ(2016年製作の映画)
4.2
噂に違わぬ辛さ。強迫性障害を患った女性の朝起床し、支度をするまでの80分は日常とはほぼ遠い戦場の様相。長回しで綴ることで「ゼロ・グラヴィティ」の如く主人公の心象風景を描くように見えるがそのゴールは宇宙空間から地上への距離以上に遠く見える。

強迫性障害だけではなく記憶障害も患っているように見えるが、少しずつ普通の自分を取り戻そうすることが窺えるセルフ留守番電話、ポストイット。何度も身体を引っ掻くために現れている身体中の傷。この映画内で解決や光が見えないことがリアルかつ、同様の患いを持つ人々にとって真摯に感じた。

「病気は治ります。私たちはあなたを応援しています。」というメッセージはなく、こんな現実が存在するというスタンスにとどまっている点でこの作品を支持できるのだ。
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