ばーとん

八つのばーとんのレビュー・感想・評価

八つ(2016年製作の映画)
1.8
オーストラリア映画はやたら精神病者を描いたモノが多い気がするが、強迫の患者を複数人みたことのある僕からみて、この映画の強迫症状の描写はあまりリアルに感じられなかった。

「アビエイター」で不潔恐怖をこじらせたディカプリオが独りで部屋に引きこもり、長期間風呂にも入らず常に全裸で過ごし、意味の無い独り言をブツブツ呟きながら、牛乳瓶に排泄する、という訳の分からないシーンがあったが、あれはリアルだった。重篤な強迫症状というのは他人から見ると非常に奇妙で、理解しがたく、狂気的で、しばしば滑稽に見えるものだ。

本作のサラの強迫行動には一貫性があって(どういう法則で彼女が"それ"をしているのか一見して分かる)また彼女の感情表現がひどく常識的なので理解しやすい。だからサラの苦悩や悲痛な側面はうまく表現しているものの、この病気のもつ独特の狂気性、馬鹿々々しさや滑稽さ(ゆえの悲しさ)までは踏み込めていない。いかにも一般人がイメージする「強迫性障害」を映画にしました、という印象だった。
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