千里

薄墨桜 -GARO-の千里のレビュー・感想・評価

薄墨桜 -GARO-(2018年製作の映画)
3.8
「牙狼〈GARO〉」シリーズ最新作にして、TVアニメ「牙狼 -紅蓮の月-」のその後を描く作品。実写・アニメ問わず「牙狼〈GARO〉」シリーズのファンなので必然的に観賞。「牙狼 -紅蓮の月-」という作品は見所はありつつも、正直全体で観ると個人的にはいまいちという印象の作品だったので、本作にもあまり期待はしていなかった。シリーズは全作観ているので本作も観るのは確実としても、後にレンタル等で済ませて劇場はスルーでいいかなーとすら思っていた。しかしながら、シリーズの原案者であり、主に実写シリーズの監督を務めている雨宮監督が傑作と仰っていたのと、小林靖子さんの脚本作ということで気になって劇場へ。なるほどこれは素晴らしい秀作。久々に牙狼シリーズで満足できた一作と言える。

"どんなに最低な奴でも、人間であるなら守らなければならない。"という魔戒騎士の掟に焦点を当て、その設定を上手く使った脚本作りが素晴らしい。戦闘シーンの作画も迫力があり圧巻。また、キャラクターの扱いも良かった。メインの3人の安定感や何より人民を思いやるヒーロー性は本作でもテーマとかかって素晴らしく見せてくれるし、本編でも非道な影を見せていた道長が本作でより非道で残虐な面を見せてくれるのに加えて、魅力的な新キャラである明羅の妖艶さの見せ方や共感出来る行動理由等、テーマ性に絡めたキャラクターの扱い方は本編以上に上手かったと思う。

また本作は紅蓮の月の後日談ではあるが、紅蓮の月本編を観ていなくとも何かしらシリーズの作品を観ていて世界観等を理解している人なら単独で楽しめる作品になっていたところも好感が持てる。上述もしたが、久々に満足感の得られた牙狼シリーズ作品だった。
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