risa

21世紀の女の子のrisaのレビュー・感想・評価

21世紀の女の子(2018年製作の映画)
-
吉祥寺のアップリンク、確か20時開始くらい、東京の映画館で映画を観るのは初めてだった。地元では上映されていないから諦めようかと思ったが、今どうしてもスクリーンで観なければいけない気がして。
全作品が女性監督の、8分の短編オムニバス。山戸結希監督の作品は最後だった。
離れ離れの花々へ。
山戸さんの作品を見ている間ずっと、死にたい生まれなおしたい、生まれ変わりたいって強烈な感情に襲われた。身体は映画館にあるのに気持ちだけはもう外に駆け出してしまいたいような感覚になった。泣いていないのに涙が止まらなかった。
女だから?女しか感じられないのだろうこの感情は、女だから理解し得てしまうのだろうか、ぐるぐる頭の中で考え続けた。山戸さんは「おんなのこ」という言葉を独特なイントネーションで発する。その意味が分かったような8分間だった。
少女のままで死ぬと繰り返す靖子ちゃんの声に更に頭を殴られて、半ば呆然としながら映画館を出た。あの時のわたしにとって大森靖子は神様だったのだ。開演前に買うか悩んで買っていなかった特別パンフレットを迷わず手に取り、ふらふらしながら夜の吉祥寺駅に向かった。地元では感じない夜の街の雰囲気、匂い、溢れてる人たち。私は確かまだ20歳にもなっていなかった気がする。どうやって家に帰ったかもあまり覚えていない。毎日地獄みたいな気持ちで生きている田舎の女の子の気持ちを忘れたくないって言ってくれた山戸さん。全編通して少女性に縋っているのか尊んでいるのか、なにが正解で不正解なのか分からないままだった。この映画を見た時、たったひとりの女の子だった私は、結婚して出産して母になった。子宮を持つ性別としての意味、少女から母への道は地続きだということ、今ならあの時の自分をすこしは肯定してあげられるのかな。何年経ってもこの作品を見た時の気持ちは忘れられない。
risa

risa