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21世紀の女の子のyzのレビュー・感想・評価

21世紀の女の子(2018年製作の映画)
4.2
好きな/気になっている監督・俳優が複数いるのを知ってからずっと観たかったが遂にBlu-rayを買った。その人達の作品だけ観た。

そもそも私はやっぱり短編を楽しむのがちょっと苦手。

『ミューズ』安川有果
カメラの手ブレがキツくて見づらさがあった。石橋静河のダンスはやっぱり素晴らしい。『よだか』も物語(小説)が関係ある話だった。

『out of fashion』 東佳苗
ファッションデザイナーとしてしか知らなかったので映画撮ってるのに驚いたがそこまでだった。男にかけられた声の所での音の重ね方、結婚の圧・呪いの側面や言葉を大事にしたいという台詞は良かった。

『回転てん子とどりーむ母ちゃん』山中瑶子
4位。中華のあのテーブルの使い方のアイデアから面白いし、そこに子どもが乗ってグルグルされる俯瞰のショットが好きだった。そしてその子どもの存在がやはり大きい。不均衡構造が維持されてはいけないというメッセージと読める。古川琴音さんがいた。

『恋愛乾燥剤』枝優花
ビーカー?の演出は枝さんっぽいなと思いつつ、それがふたりがジュースを飲むショットに繋がるのが良いし乾燥剤というモチーフとも接続されるので面白い。山田杏奈さんは良い眼をしている。

『projection』金子由里奈
3位。去年(2023年)金子映画に出会ったことで本当に衝撃と希望を覚えて、この企画の中でも特に観たかった監督。やはり面白かった。真っ直ぐに人間の話をしているのが意外だったが、特別編に入っているインタビューから自分の経験が反映されているのだろうなという印象を受けた。
冒頭のシーンが恋愛至上主義、異性愛規範に対する違和感、嫌悪感の表明だと読める。
監督の兄の金子鈴幸も出ていた。撮る/撮られる関係の話で男女の権力関係のない女性による主体的なヌード的な話でもある?
特別編の「過去を豊かにするために物語にしてあげたい。自分のことを物語にしてあげたい」という言葉が印象的。

『愛はどこにも消えない』松本花奈
2位。松本監督に橋本愛さんとこれは監督、俳優どちらも期待していたら、かなり良かった。ネバヤン『お別れの歌』みたいな橋本愛さんには軽率にやられてしまう。(良くない感想な自覚はある)「紙の上に書かれた言葉は誰かの感情にかわる」という台詞が面白い。1人に対するそれぞれの印象が全然違うように、他者の他者性の話な部分がある。

『君のシーツ』井樫彩
三浦透子さんなので観たが良くわからなかった。異性間の行為と同性間の行為をカットバックで見せるのは『彼女が好きなものは』よりこっちが先ですね。


『離れ離れの花々へ』山戸結希
一番面白く観た。山戸さんが企画・プロデュースということで「21世紀」も「女の子」もそして「映画」ということも全部背負ってそれが作品にもしっかり昇華されていて素晴らしかった。そして、アプローチの一つと思想がかなり好みだった。ポエジーに台詞を発すること自体が好きな上に唐田えりかさんのそれが凄く良い。
「孤独な人間しか世界を変えられないのだから」
「だからもっと孤独になるんだよ」
「誰かと手を繋ぐともっと孤独になるんだよ」
「ひとりでいる孤独よりみんなでいる中で見つける孤独のほうが儚い孤独」
「お互いをしらない孤独よりお互いを
愛しつくした孤独の方が尊い孤独なのだと」
「それなら私は世界で一番孤独な花になりたい」
「人と出会って初めて孤独になる」など孤独に関する部分が素晴らしい。

終わりを知っているというのは
映画のことであり生きること。

カット割りが早すぎて目がチカチカしたのは正直なところ。
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