アルパカメタル

21世紀の女の子のアルパカメタルのネタバレレビュー・内容・結末

21世紀の女の子(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

東京国際映画祭。ワールドプレミア。
これがこの時代に生み出されたことに意味がある。


『回転てん子とどりーむ母ちゃん』監督:山中瑶子
一番やばいエキセントリックなやつを一番最初にぶっこんできた。
以降の作品を全て見た上で感じたことだけどたくさん女の子が出てくるんだけど、こんなにも記号的に登場人物を扱った作品はなかったよね?
そこのある種の暴力性。「あみこ」に通じる。この人の作る作品をこれからいっぱい見たい。

『粘膜』監督:加藤綾佳
「おんなのこきらい」「いつ米」で感じた加藤さんの一見かっこよく見えるけど冷静に考えるとちょっとやばい男性観とそれを見つめる女性観がついに爆発したな、って思った。本性を現したな!加藤監督!と叫びたい。

『projection』監督:金子由里奈
撮ること、撮られること、っていうのはやはり無意識のうちにこの世代の人たちの潜在的なテーマになってるのかな、と感じた。正直あまりピンとは来なかった。劇中の小川あんさんの立ち位置も上映後のトークを聞くまでよく分からないままだったし。

『恋愛乾燥剤』監督:枝 優花
監督自身の文脈(「少女邂逅」、そして何本か監督されてるMV)を踏まえると一番今までの作品群からすると意外性のある作品のような気がしてびっくり。何本かのMV観てて思ったんだけど、枝監督の中における「少女邂逅」ってご自身の想いやらなんやらが入り込みすぎてて特異な立ち位置なのかな、って思わないでもない。やっぱりこの監督の作品は追っていきたい。(上映後、ご本人を見つけたので意外だったという印象を伝えると監督本人も他の作品見てびっくりしたとおっしゃってた。笑)

『out of fashion』監督:東 佳苗
モトーラの舌足らずな魅力よ。少女が大人になっていく過程だよね。

『君のシーツ』監督:井樫 彩
これなんかもう直球すぎて笑っちゃった。好きだな、井樫監督。何もいうことないもん。ど直球。一番直接的なアプローチの作品だった。

『Mirror』監督:竹内里紗
最後の山戸監督のが別次元なのでそれを抜いた上で考えると一番好きかもしれない。「みちていく」で感じた身体的な距離がそのまま心の距離になる感じというか、触れたいのに触れれないもどかしさとかそういうのをひっくるめて8分間で一番完成された短編という印象。

『セフレとセックスレス』監督:ふくだももこ
着想に関してはどう考えても一番面白いよな。突飛なことやってのけるのに、そこに感じるリアリティというか、空間の作り出し方が上手な監督さんだと思う(「父の結婚」しかり)

『ミューズ』監督:安川有果
石橋静河さん踊ったー!踊ったー!!
着想はテレビで見たある芸人の発言から、ということだったけど安川監督って本当に毎回つかみどころが見出せないというか今回は割と直球で撮ってたような感じもしたのに、どこか浮遊感があるんだよな。不思議だ、、、

『I wanna be your cat』監督:首藤 凜
あー、これ結構好きでした。一番会話劇してたよね。
タイトルバック、ラストカットは「なっちゃんはまだ新宿」 っぽいわ。って腕組みしてウンウン言っちゃう。

『珊瑚樹』監督:夏都愛未
意外とここまで「性の揺らぎ」というテーマのもとLGBTを正面から
取り扱った作品がなかったことに気づく。(「君のシーツ」「Mirror」は
女性二人の話だけど、そこに対する葛藤を扱ったものではなかったので
LGBTがテーマとは言わないのではないかと思う)ここで初めてトランスジェンダーの登場人物が登場した。

『reborn』監督:坂本ユカリ
数少ない過去作を一本も見たことない監督さんだったけど、惹きつけられた〜。絵作りも好きだし。
好きすぎて壊したいあのどうしようもないもどかしさというか、松井玲奈さんイイ作品に出たなーって思っちゃった。(平井亜門くんのまばたきが多すぎて気をとられる)

『愛はどこにも消えない』監督:松本花奈
一作一作完成度が高くなってるな、という感じの松本監督。
監督本人はものすごく若いのに、若干悪い意味でまとまった映画を作っちゃう人だな、って思ってたけど今回のはかなり衝動的な作品で。そこは好きでした。

『離ればなれの花々へ』監督:山戸結希
こんなの最後に持ってこられたらずるいよね。
自分が用意した土俵で、ちゃんと自分の映画を昇華した。
21世紀を生きる女の子と、映画に対するラブレターです、これは。
山戸監督のこの時代を映画監督として生きていくことに対する覚悟の映画でした。涙が止まらなかったです。