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21世紀の女の子のtetsuのレビュー・感想・評価

21世紀の女の子(2018年製作の映画)
4.1
未来を担う若手女性監督が一同に集結。ついに関西にも上陸ということで鑑賞。

「自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること」
このテーマを基に15人の女性監督が紡いだ挑戦的短編集。

というわけで総評が難しかったので、15作品の短評をすることにします。笑

・『ミューズ』
男性の幻想に反抗した女性の話。
中村ゆりさんの妖しい魅力と石橋静河さんの純粋無垢さ。しかし、それも彼女達の1面でしかない。

・『mirror』
時を経て再開する二人の女性。
カメラマンと被写体、鏡の様な二人の関係性が心に残る。

・『out of fashion』
ファッション学校の幻想と終焉。
RADWIMPSのアルバムジャケットでも印象的だったモトーラ世理奈さん主演作。これはデザイナーでもある監督の実体験なのかもしれない。

・『回転てん子とどりーむ母ちゃん』
8人の女性のガールズトーク。
『あみこ』の山中瑶子監督作。中国人から南果歩さんまで個性豊かなお母さん。ラストで明らかになる本物の両親に注目...。

・『恋愛乾燥剤』
『少女邂逅』の枝優花監督作、『世にも奇妙な物語』にありそうな短編。絶妙にキュートな感じがかなり好き。

・『projection』
一般公募枠で選ばれた女の子の作品。
未だかつてない伊藤沙莉さんの可愛さに衝撃。というか、次の伊藤さんこと日高七海さんと共演してるじゃん。(※個人の意見です。笑)
それだけでお腹一杯です。ありがとうございました。笑

・『I wanna be your cat』
女優上がりの脚本家と監督の会話劇。
『なっちゃんはまだ新宿』の首藤凛監督作。二人の男女の絶妙な関係、待ち受ける結末が衝撃的。笑

・『珊瑚樹』
さびれたプールで円バレーする女子三人と、彼女たちの密かな思い。
女の子がささやくモノローグが印象的。微かに起きるラストシーンの衝撃は、まるで電光石火のよう。

・『愛はどこにも消えない』
松本花菜×橋本愛の最強コラボ、消えた彼氏を探す少女の話。
タイトルロゴを見ると監督の過去作『過ぎて行け、延滞10代』を思い出す。
以前、監督は舞台挨拶で「作品を自身のボイスメモ日記から発案することがある」と言っていたが、セリフを聞くと、多分、それだな、これ。笑

・『君のシーツ』
秘められた自らの男性性に気づいてしまった女性の話。
監督本人が持つ独特な性癖を描いたとも言える作品。しかし、明確な答えはだされていない。とにかく監督の長編『真っ赤な星』への期待が高まった。笑

・『セフレとセックスレス』
ラブホを舞台に描かれる歪な二人。セフレから本当の恋は生まれるのか?を描いた一作。
ふくだももこ監督作、なにより、黒川芽以さんは年をとらないことが分かりましたね。笑

・『reborn』
「君が壊れてしまえばいいのに...」
彼への憧れゆえに崩壊を求めてしまう女の子の話。
松井玲奈主演作、男視点からすると複雑で訳の分からないヒロインがメンヘラにしか見えなかったです、すいません...。もっと大人になってから出直します。

・『粘膜』
男に媚びる女性と媚びない女性、それぞれの女性は恋人の粘膜に触れる。
『おんなのこきらい』の加藤綾佳監督作。主演の日南響子、格好良すぎだろ...。

・『離ればなれの花々へ』
お花畑とカラフルな衣装で繰り広げられるメルヘンでファンタジックな世界観、山戸結希監督×唐田えりか(『寝ても覚めても』主演)で描く「女の子」哲学。
資生堂のCMの様でいて、もはやこれは神の領域。さすが今回の発案者、セリフの数々はまさにコンセプトそのもので、音楽との相乗効果がエモいと同時に鳥肌...。

・『エンドロール』
下手ウマな絵で紡がれるスクリーンの中と外、二人の女の子の交流。
大森靖子(feat.平賀さち枝)とかいう完璧としかいえない人選。物語は製作者から観客、監督からスクリーンの前に座る一人のあなたへと続く...。


短評と言った割りに、つい長くなってしまいました。すいません。笑
というわけで、様々な女性が登場し、様々な価値観が得られる本作。
正直、一つ一つの作品は約8分間という短さのため、消化不良に感じる人もいるかもしれませんが、その中には心に残るシーンやセリフがあるはず。

それぞれの監督の今後の活躍にも期待ですが、なにより本作を観て産まれる新たな女性監督を考えると、間違いなく今後の日本映画に残る歴史的な一作でしょう。
映画ファン、いや、21世紀を生きる少しでも多くの女性に観ていただきたい作品でした!

参考
映画『21世紀の女の子』予告編 2019年2月8日(金)より公開
https://youtu.be/_m_viluHoqo
(未公開カットもふんだんに盛り込まれた予告編。エモすぎて、こんなに泣きそうになった予告編初めてなんですけど...。)

「21世紀の女の子」公式パンフレット | |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C21%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%80%8D%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88/dp/4873764645
(今年買ったパンフレットで断トツNo.1のクオリティ。キネマ旬報社出版、監督による各作品の紹介ページ、出演者の撮影風景などなど。定価1400円と他に比べると少しお高いですが、これはマジで買ったほうが良いです。)
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