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21世紀の女の子のIのレビュー・感想・評価

21世紀の女の子(2018年製作の映画)
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15作品もあり消化するのに時間がかかる

「ミューズ」安川有果
最初から女の子という言葉が似合わない大人の女性二人がメイン。
人から見られる自分、自分から見える自分や、男の物のように見られる自分や、もしくは上手く大人になれなかった自分の中の「女の子」が疼いているのかもしれない。

「回転てん子とドリームかあちゃん」
山中遥子retreat
映像の奇抜さお洒落さ一番。他の作品にはないオリジナルな表現が良かった。
中国語と日本語の混ざった会話のテンポ感が良い。女性に囲まれてひとり男の子がピュアな瞳を向けている。

「Mirror」竹内里沙
ジェンダーを問いかける作品。
カメラを通して交わされるコミュニケーション、若しくはカメラを通してしか混じらない感情か。被写体と撮影する側の関係性。作家とは。

「セフレとセックスレス」ふくだももこ
別の視点でジェンダーとは性とは?を問いかける作品。
ジェンダーの境界線が問われる現代だからか、「男と女の情熱的な愛」が語られることは少なく、友達だけど性的なの 関係がフラットにある関係が今どき。 セフレとセックスレスのその理由は果たして愛なのか?

「珊瑚樹」夏都愛未
3人の女の子の三角関係。女性らしい自分を選べない女の子に、その女の子が好きな女の子に、その女の子に嫉妬する女の子。
漫画「ブルー」を彷彿とさせる女の子と女の子の関係性や青春。

「君のシーツ」井樫彩
ジェンダーが揺らぐ瞬間を視覚的にインパクトある形で表現していた。
夢うつつで感じるジェンダーへの疑問が上手く表現されていた。

「out of fasion」東佳苗
モトーラちゃんファンなのでたのしみにしていた作品。ファッションという自己表現に真摯に向き合う時に起きる苦悩や衝突。監督の、主人公への優しい目線が表れた演出が印象的。

「projection」金子由里奈
「寝ても覚めても」での演技が良かった伊藤沙莉さん主演。カメラを向けられ無防備でピュアな自分に戻っていく様子が良かった。

「愛はどこにも消えない」松本花奈
登場人物みんなまっすぐでぴゅあに人を好きになるっていいなと思った。タイトルや内容通り、大切な宝箱を開ける様な。暖かい光や柔らかい画がノスタルジー。

「恋愛乾燥剤」枝優花
主演の山田杏奈さんが可愛かった。
息とか、薬が水にぽちゃんと入っていく音とか音使いがリズムを出していて印象的だった。ふと、先輩が逆の恋愛してしまう薬でショートムービーつくっていたのを思い出した。

「粘膜」加藤綾佳
昔愛読していたニコラモデルだった日南響子ちゃんが妖艶な美女になっていてびっくりした。高音質な画面から色気が溢れるようだった。

「reborn」坂本ユカリ
二人が雨の中歩いている様子がとてもエモーショナルだった、ということ以外内容が思い出せない。

「I wanna be your cat」首藤凛
女性が儚く古風で純文学から出てきました、というような雰囲気のある女性だった。最後の女性が飛び込むところとか、ナンセンスギリギリ感が面白かった。

「離れ離れの花々へ」山戸結希
さすがこの企画のドンらしく、これまでの作品を見終えてラストにふさわしい、まとめに、女性・人間賛歌となっていた。
言葉選び、映像の繊細さ、いわゆる女性らしさが表れており、救いの一作だった。最後にこの作品があるなしで、21世紀の女の子の捉え方が変わっていただろう。


全体的に、女の子というには成熟している作品が多いが、敢えて若い世代に観てもらえるよう「女の子」と言っているのだろう。こんなにも日本において女性作家がいて、それぞれの個性で作品をつくっているということが知れてとても良い企画だと思った。
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