や

蜷川幸雄シアター2「身毒丸 ファイナル」のやのレビュー・感想・評価

5.0
"家族"という容れ物の中では、憎しみ合うことしかできないシントクと撫子。"母札"の無い終わらぬ家族合わせ。瞼の裏の母を求め、落ちた"穴"の中で広がるのは、子供を亡くした女たちの母親地獄。懐かしい面影に振り返れば、そこには修羅と化した撫子の姿が。ーーーー女としての自分を持て余す撫子と、幼い頃に亡くした母を忘れられない若く美しい青年シントクが、義理の親子という枠組みを壊して結びつき、二人は当てのない旅に出る。
「私はあの子のまなこが怖い。あの子のまなこの時計の中で私は老いてゆく。ーーまなこ潰せば振り子は止まる。」「お母さん、もう一度僕を妊娠してください!」
寺山修司×蜷川幸雄、これが答えです。正直寺山作品は彼以外には実現不可能だと思っていたけど、流石は世界のニナガワ。暫く何も観たくないと思うくらいに圧倒された。これが初舞台だという若き藤原竜也と、"狂気女優"として知られる白石佳代子ふたりのタッグも良かった。天才。
や