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プロミスのperipateticSのレビュー・感想・評価

プロミス(2001年製作の映画)
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この尊い瞬間をいつかあっさりと忘れてしまうだろう。
そういう、啓示にも似た悟りが、自分の子供時代にも時々あったことを思い出した。その度に、わけもなくさみしくて泣いていた。胸が締め付けられた。
自分から立ち昇る、別れの予感。大人化した今振り返れば、それらの予感はおおむね間違ってはいなかった。暗示とも言えるかもしれない。不可抗力を知ってしまった、力不足を認識するとき。構造の複雑さにめまいを起こすとき。自分は世界に対して何の意味も成さない小さき存在かもしれない。銃の使い方を知らない知識人(聖職者)の論理を守るために、いちコマンドになる日がくるのだ。命へのあきらめ。

子どもたちに、そんな思いをさせたくない。平和がなんであるかとか考える以前の、遊び仲間としての関係性。
成長に伴って平和を遠く感じるなんて、おかしくないか。大人ってそんなに簡単に切り替わるのか。

鍵、家、モノがシンボルになる。心の支え、祈り、信仰、形式、言葉、スポーツ、エナジーの発散、憎しみの対象、想像力への執着。家庭は言葉を獲得する場所。眼差しの乱暴さとともに、目を合わせないという暴力性。
収容所で見かけたイスラエルからの修学旅行生の集団に引いたこと。愛とは排他的であること。他性のはなし。敬虔さに対する恐怖と若干の憐憫。燭火礼拝で参加者に泣かれて冷めたこと。人は蝋燭の火のように揺れている。物理的に揺れたらわかるのか
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