唯

プロミスの唯のレビュー・感想・評価

プロミス(2001年製作の映画)
4.3
子供の時から敷かれている分断思想。
まだ善悪の判断がつかない時代に教え込まれる恐ろしさ。
彼らにとって、世界はあまりにも狭い。世界を知ることすら許されない。

宗教もまた凶器となり得る。
信じることには必ず二面性があることを私たちは自覚しなければならない。

親の生き方以外の人生を知らない子供達は、親の生き方イコール自分の人生と思い込んでいる。
それ以外の選択肢を持たないこと以上に不幸なことがあるだろうか。

私たちは、長い長い歴史の上に生きている。
過去をどう捉えたら良いのだろう。
囚われるのか。忘れ去るのか。
一体どうしたら、前向きに過去を背負えるのだろう。
そして、それを未来を創る子供達に背負わせてしまって良いのだろうか。

バレーボールや短距離走の大会で負けて悔し泣きをする子供達と、自国の領土を主張して相手を殺す理由を正当化する、敵対心に塗れた少年少女の姿が決して同じものには見えない。だが、そのどちらもが彼らの真実なのだ。

子供であること・子供時代を奪われている彼ら。
自国の歴史や現状を知るのは大事だが、何も考えずに子供らしく生きて欲しいと願ってしまう(げっぷで交流するシーンの様に)。

「ダニエルやヤルコとも良い友達になれた。でも、BZが帰っちゃえばきっと友達になれたことも忘れてゆくんだ」
戯れて別れに涙しても、友になりたいと願っても、刷り込まれた分断思想がそれを許さない。

まだ声変わり前の少年少女達が自分の言葉として敵対心を語る。
将来はない、夢は叶わないと嘆く子供達の絶望。
しかし、新たな命は今日も産み落とされている。
この赤子達は、どんな未来を歩むことになるのだろうか。
唯