紀元67年、皇帝ネロはローマの街を炎が覆い尽くした大火事の原因がキリスト教徒による放火と判断され、その首謀者として投獄されたのがキリストの使徒でもあったパウロ。
(ちなみにパウロ=ポールでルカ=ルークなので以下はその呼び名で。)
キリストが存在していた時代のものまではあってもそこからしばらく経ったローマ国のキリスト教徒に対する迫害を描いた作品は私は初めて拝見しました。
しかしこれらの一つ一つのエピソードがのちに世界一のベストセラー本である新約聖書となるのだと思うと感慨深いです。
因みにここには具体的には描かれてはいませんが当時のローマ皇帝の迫害内容はかなり残忍で生きたまま燃やすとか獣の餌食にしたりとかしたらしいです。怖!
ポールもかつてはキリストを迫害する側だったので正式にはキリストの弟子ではなく、キリストの死後に伝道者となった杞憂な人生を辿っている老人。だからこそポールの発する一つ一つの言葉の重みが違います。
ここに登場するポール以外のほとんどがキリストの生身を見たことがなく、ポールの記憶とその一つ一つが血となり肉となりルークたちだけではなく、敵であるローマ軍側の道標となる。
憎々しい相手を愛して赦す。
ずっとミッション系の学校で『汝の敵を愛しなさい』とは耳にタコが出来るほど聞かされましたが、なかなか出来るものではありません。
でもだからこそその行為が尊く、奇跡を生むこともあるのだとこほパウロの人生が告げてくれているような気がします。
内容はとてもまじめですがいい意味でエモーショナルな部分もあり、聖書系はちょっと・・・って方にも比較的観やすい内容なのではないかな。