あとくされ

生きたいのあとくされのレビュー・感想・評価

生きたい(1999年製作の映画)
3.8
黒澤明監督の『生きる』を意識したものなのか、『生きたい』。姥捨山の民話と呼応させる形での『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』。

躁鬱の大竹しのぶが失禁する三國連太郎を罵倒する壮絶な親子劇。

作業所で大竹しのぶが働いている場面、そしてそこに好きな人がいて、彼が作業所を辞めるときにあるドラマが素晴らしい。彼の家に花を挿すけれど、彼はいったい誰からの贈り物なのかわからない。それが素敵…と言う彼女だけど、自分の存在が認知されないことに気づいて、鬱になる。これがなんとも言えず、いい。

見るものの人生を圧するという点では黒澤明の作品には及ばないけれど、それでも親子関係に軸足を置いて人生苦しんでいる人たちにとっては痛切な作品だろうことは間違いない。
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