茅野

ラスト・ウォリアー 最強騎馬民族スキタイを継ぐ者の茅野のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ロシア製異教アクションムービー(?)。
「そんなにステレオタイプに描いちゃって大丈夫なのか!?」という側面が多少B級臭を誘うけど、流石にアクション部分は手堅い。かなりの傷を受けたのに概ねキビキビ立ち回れていることの違和感を除けば。

中盤までは、元々敵同士の2人がひょんなことから共闘して絆を深めていくぜ! という少年漫画的シナリオ。
ロシア・ウクライナ映画なので、自国の過去を美化するプロパガンダ系の話なのかと身構えていたけど、かなり意外なところに着地させてきて、後半驚くというか、呆気にとられたというか……。
準主人公がとても呆気なく殺されてしまうし、定石では裏切らんやろみたいな人が裏切るし……、ハッキリ言ってしまえば、まさかの民族浄化エンドである(勿論失敗しているけど)。

何も考えず見る分には見応えあり。ほぼ常に戦闘シーンなので、アクション映画が好きな人は好きだと思う。

スラヴ神話ベースの謎の原始的宗教が色々出てきて、ファンタジーとして見ている分には面白いけど、自国(自地域)の歴史に関してそんな描写しちゃって大丈夫なのか、と逆に不安になるレベル。

テーマとなるスキタイ人は、戦神を崇める、殺人を生業とする血腥い集団として描かれているけど、相棒クニーツァは割と好意的に描かれている。
細身でパンキッシュな容姿に反し、有能で頼れる兄ちゃんという感じで、それこそ少年漫画っぽい。職業:殺し屋であることに変わりは無いけど。
みんな金色のカラコン(?)をしているのがオシャレ。

一方、ポロヴェーツ人は、傲慢で、憎らしい連中というような描写で、なんというか、やっぱりそこはロシアの歴史観っぽい。

ロシア系(キエフ公国?)の民は、まさかの領主一家が肉親を裏切ったり、民族浄化しようとしたりする一番ヤベー奴らだった。これ逆によく検閲(?)通ったな? の域。
主人公リュトボルはここの所属だけど、最後に見切りをつけてスキタイ側に着く。これは仕方ない。
途中で怪しい森のカルト集団に取っ捕まり、そこでクニーツァを助けるために得体の知れない薬物(明らかに原始的危険ドラッグの類)を飲んだリュトボルは、怪力に覚醒。「熊の力」と呼ばれているあたりがスラヴ的。熊と狼のコンビなの、いいな。

時代設定とかがあらすじにあるので、歴史重視なのかと思ったら、全然そんなことはなかった。
肉弾戦アクションはかなりしっかりしているけど、ストーリーはフィクション感強め。
スタイリッシュな殺し屋と、マッチョな戦士がコンビを組み、四面楚歌の中共闘するのは、かなり絵面がいい。
サクッと中世スラヴっぽいアクションムービーを摂りたい人にはお勧めです。
茅野

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