スギノイチ

女渡世人 おたの申しますのスギノイチのレビュー・感想・評価

女渡世人 おたの申します(1971年製作の映画)
4.4
藤純子ベスト。
この映画、とにかく藤純子が悲惨な目に会い続ける。
火事から子供を救ってさえ周囲から罵倒されるシーンに至っては、マゾ映画なのかと思うほどだ。
金子信雄&遠藤辰雄の狒々コンビによる言葉責めの挙句に指詰めをさせられ、最終決戦では髪は解け、着物はぼろぼろ、肌には返り血と自分の血を浴びている。
しかし、酷い目に遭えば遭うほど美しくなっていく。
自身は雨にうたれながら、傘を菅原文太に差し出すシーンは格別。

印象的なのは、いつもは”正義の侠客”を演じることの多い待田京介だ。
本作でも一見すると筋が通った男前の侠客だが、一皮剥けば卑劣で下衆なカスヤクザ。
この役を待田京介がやることで効果的な落差が生まれている。
菅原文太との一騎打ちに敗れ、情けなく命乞いをする姿の哀れさ。
そして、虫を見るような藤純子の目つきが凄い。
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