ひげしゃちょー

止められるか、俺たちをのひげしゃちょーのレビュー・感想・評価

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)
4.3
若松孝二に憑依した井浦新と若松孝二の思いを形にしようと若松孝二に師事していた白石和彌が時を経て2018年にパワフルな青春映画を作った。若松孝二の視点ではなく自殺しためぐみの視点として脚本に落とし込んだのが素晴らしいと思う。 井浦新、寺島しのぶ、高岡蒼甫、高良健吾、大西信満、満島真之介、吉澤健とかつて若松組に絡んだキャスト達が1970年代近辺のやり場のない若者達のエネルギーを表現している。 今作に当たって白石和彌も井浦新も門脇麦も若松孝二と若松プロを研究し尽くしたんだろうなというのが伝わった。 遠山美枝子が『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』を通じて若松プロに絡んでいたのは知らなかった。だからこそその怒りで『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』みたいな傑作映画が出来たんだろうな。 助監督が長った白石和彌はスクリプターをつけないところからも時間とお金の使い方がよくわかっている監督。三島由紀夫役で本人が出ていたのは笑ったけど、これからの日本映画界を背負って立つ存在であることは間違いない。 白石和彌は『麻雀放浪記2020』を観てもわかるように映画は理屈じゃないという若松魂を受け継いでいると思う。