結局カレー

騙し絵の牙の結局カレーのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
3.1
騙し合いエンターテイメントというなんともキャッチーな見出しにつられて鑑賞。しかし「騙し合いバトル」「ウソを見破り、ウラを暴け」みたいな煽りほどピンとはこない。登場人物全員ウソをついているってのも間違いじゃないけど「騙された!」みたいな気持ちよさがもっとあったらな〜

でもシンプルに出版業界のお仕事ドラマとしてみると面白かった。原作が大泉洋に当てがきした作品ともあって速水の軽妙かつ大胆な舵取りが面白くて大泉洋にピッタリだったし高野の新人編集者なりのまっすぐな本への愛情と直感力にワクワク。確かに紙の本をどんどん読まなくなりつつあるけど街の本屋がなくなっていくのはとても寂しいとも思ってしまう、この矛盾した状況の裏で買いたくなる本・雑誌を生み出すために奮闘してる人が沢山いるんよな。テーマは伝統と革新すね。騙すというけど速水は良いコンテンツを生み出すためには手段を厭わないってだけでシンプルにしごでき上司だった。私も速水の下で、いや、大泉洋の下で働きたい(?)

こんだけ周りを出し抜いたって自分もまたすぐ”出し抜かれる側”になってしまうのがエンタメの世界であり、スピード感が他業界とは全然違う。いかに先手を打ち観客の期待を裏切るか、エンターテイメントの真髄は”騙す”ことにあるんだなと思った。