あき

騙し絵の牙のあきのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
1.0
まぁ、エンタメ的には“面白い“部類に入るのだろう。確かに、退屈は、しない。
でも、個人的には、不快感が随所にありすぎて全然ダメだった。
人間関係の描き方も、象徴的な嫌われ者役を大衆の面前で貶めるシーンで“ざまぁみろ“なのかもしれないけど、あまりに多用された表現手法でまたこれかよって稚拙すぎてゲップが出る気分だし、あぁいう手段はあまりにルール違反で卑怯だし不快感しかない。気持ちはわかるけど。
しかも氷魚くんは確信犯的な偽物だったのなら、途中まで“ぼくは小説を書きたいんだ!“って大泉洋にキレてたのあれなんだったんだよって全く辻褄が合わないし、さらには前半あれだけ存在感の自己主張の強かった國村隼が後半登場シーンなくなるのもキャラを使いこなせないのに登場させてしまうストーリー構成の目を覆いたくなるほどのひどい脆弱さ、トドメは“人を騙して楽しいですか“と綺麗事言ってた松岡茉優のラストシーンは、言ってることとやってることの整合性欠如も甚だしい。
そもそも高校生ぐらいの若い女性に一冊の本に3万5千円も払わすことに寒気を感じたし、逆にここはWEB化を進めた大泉洋の肩を持ちたいところだ。
随所で感情移入どころか不快感しかなく、劇中のセリフ“面白ければ〜“がほんとにそれそのままこの映画自体へのブーメランでしかない。
これが出版業界、文学界の低迷打開の一例だと描いているのなら、この作品にこそ低迷の根幹の一端を見た。
あき

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