小学生のおっこはいきなり不慮の事故で両親を同時に失ってしまい、祖母が経営する温泉旅館「春の屋」でお世話になることになってしまった。そして春の屋に住み着く幽霊ウリ坊にそそのかされ、あれよあれよと言う間に若女将としての修業を積み祖母の後継ぎとなる決意をすることに。春の屋で働きながら様々なクセ客と交流を深めおっこはたくましく成長していくのだが…な話
全てのアニメに全くもって興味が無かったんですが、これの評判が異様に高くてずっと気になっておりました。おもろい…泣ける…。両親をいきなり失って絶望のどん底で自分の状況も変わった中なのに、女将修業として色々な人やワケあり幽霊との交流を経て人間的に精神的に成長していくおっこの、何と清らかで、誠実で、ひたむきで、強く美しいことか…。インターネットの深淵で蠢く私の汚れきった心が綺麗に浄化(成仏とも言える)されていくのを肌で実感しました。素晴らしい!!
何と言ってもこの映画、足を引っ張る嫌な奴や殺人鬼といった「悪」が全く存在しないところも最高ですよね。おっこはみんなのために、みんなはおっこのために何が出来るか考え、その登場人物達がただ映画を面白くするために配置されたわけではなくおっこの成長の根幹全てに携わる必須のキャラとなり、春の屋の美しい自然描写も相まって私の目にも一筋の涙が…うっうっ。おっこの「両親の死」に直面するシーンが意外にも少ないんですが、だからこそ不意にやってくる胸騒ぎや全体を薄く包み込む焦燥感や脆さも傍に存在し続けるバランス感覚もアッパレ。いや〜良いもん見ましたね。敬具