ヨッシー

翔んで埼玉のヨッシーのレビュー・感想・評価

翔んで埼玉(2018年製作の映画)
4.0
『平成最後の本気の悪ふざけ!』

『パタリロ!』などの魔夜峰央の人気漫画(?)を実写映画化。

日本で最も虐げられている土地・埼玉県。その埼玉出身でありながら高い都会指数を持つ謎の転校生が関東に革命を巻き起こしていく。

監督は『のだめカンタービレ』『テルマエ・ロマエ』などの武内英樹。
主演は二階堂ふみとGACKT。

原作者の魔夜峰央を所沢で仕事をしていた際、締め切りに追われるストレスから書き始め、横浜に引っ越した事で埼玉の悪口を書きづらくなってやめたというある意味伝説の漫画のまさかの実写化。
正直言ってこれを実写化すると聞いた時は「バカじゃねぇの(笑)」と思ったけど、地味に楽しみだった作品。

最近だと『銀魂』(あと爆死したけど『ニセコイ』)のような大人達の本気の悪ふざけ映画がヒットしてて、その流れがあって今回の『翔んで埼玉』も映画化されたのかな?

東京の隣なのになにかとネタにされがちな埼玉を(ちょっと間違ったベクトルで)disりまくった原作なんだけど、作者がしょうもない理由で連載をやめたせいで未完になってるから、ちゃんと完結させるために映画化する意味は大いにある。

で、今回の実写版『翔んで埼玉』はどうだったか。

普通この手のご当地映画だと、その土地の魅力を紹介するような映画になりそうなものなんだけど、これは『翔んで埼玉』だからそれとは真逆で埼玉をdisりまくり。最終的な結論は“埼玉には何もない!
”な辺り褒める気ゼロ(笑)。

disりネタもネットの2ちゃん辺りであってそうなしょうもないものばかりで、きのこたけのこ戦争レベルネット民の不毛な争いをマジで映画化しちゃったのがこの『翔んで埼玉』。マジでバカじゃねぇの(褒め言葉)。

ぶっちゃけ、この作品の世界観自体がリアリティゼロのもはやファンタジーの世界で、バカみたいな設定ばかり。
埼玉は田舎というよりここだけ時間軸ズレてる?と思うレベルで時代感ずれまくりだし、逆に東京は近未来かな?と思うぐらい謎のテクノロジーがあったり。
なんだけど、そのファンタジーじみた世界で実在の地名を出されると、いきなりリアルとファンタジーの境界がぐちゃぐちゃになって笑ってしまうというのがこの作品のスタイルでこれが地味に笑える。

地味に埼玉以外の県にもめっちゃとばっちりがいってて、都道府県魅力度ランキング6年連続堂々の最下位の茨城は埼玉以下の扱いな上、群馬に至ってはもはや人が住むところですらない(笑)。
ここまでくると逆に触れてもらえない栃木がかわいそうww
そして、埼玉最大のライバルである千葉県(リアルの千葉は埼玉のこと眼中にすらない気が...)との戦いはマジでくだらない(褒め言葉)。

一応、話の中には地域格差や階級社会への反抗だったり、上の者に媚び諂うのではなく、自分たちの魅力を高めていこうみたいなテーマ性があるっぽく見えなくもないけど、そんなものはない!
なにせ、そのテーマの扱いは超雑。
結局埼玉にはないもないのかよ!
そもそも通行手形制度をなくしても人々の差別意識を変えなきゃ意味なくない?
などツッコミどころは満載。
はっきり言ってストーリーはメチャクチャで原作にはない後半はもうヤケクソなのかな?と思うぐらい。

でも、それでこそ『翔んで埼玉』でしょ。このムチャクチャっぷりが面白いんだよね🤣
もう作品としての完成度なんてどうでもいいからとにかくふざけまくってこその作品だもん。

役者陣は文句なしかな。
GACKTは地味にあのコスプレ姿が違和感なくて笑える。
二階堂ふみも悪くないけど、アイツ男役なのに途中完全に自分が男なの忘れてるんじゃね?と思うぐらい普通に女っぽい喋り方だったけど。

少し欲を言えば、終盤の埼玉VS千葉はもっといろんなくだらない戦いをして欲しかった。
出身地対決以外にも名産対決とか名所対決とか...あ、ないのか。なんかすいません🙏

あと、ご当地ネタが多いから関東の人なら分かるかもしれないけど、他の地方の人に通じるネタかは知らね。
夏の熊谷が車のボンネットで目玉焼き焼けるのどれぐらいの人が知ってるのかね?

とにかく、ここまでバカみたいな原作をしっかりふざけまくったぶっ飛び映画にしてくれた以上文句はない。
埼玉には何もないという欠点をむしろ自虐的に魅力にしてしまう埼玉恐るべし。オススメです!
ヨッシー

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