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I AM THE BLUES アイ・アム・ザ・ブルースのkyokoのレビュー・感想・評価

3.8
ブルースと言えばB.B.キングぐらいしか知らないが、予告に惹かれて鑑賞。

ミシシッピで40年以上も続くジュークジョイント「BLUE FRONT CAFE」には、今も往年のブルースミュージシャンたちが集い、店先で気ままに演奏している。
ギターをつま弾き始めたとたん、皺深い爺さんたちから漂う哀愁と色気。
この即興演奏が痺れる。
バーバラ・リンがかき鳴らすギターもかっこよかったなあ。彼女が独自に習得したテクニックは難しくて誰も真似できないんだそうだ。

地元で開かれたパーティーでは、ヘンリー・グレイはじめ、まだまだ現役で活動しているミュージシャンたちが次々に演奏を披露する。
キャロル・フランは80を越えて、座った椅子から立ちあがるのもやっと。なのにマイクの前に立ったとたん、すばらしくダイナミックな歌声が響きわたったときには鳥肌が立った。

この作品には若い人が全然出てこない。「BLUE FRONT CAFE」に行けばいつだって一流の教えを受けることができるのに。
ブルースはもともと黒人奴隷の労働歌であり、孤独と哀しさを歌う。それが今の若い世代にとっては縁遠い音楽として遠ざけさせているんだろうか。生活が豊かになった証しとも言えるけれど、絶滅してしまうのは淋しすぎる。
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