「生まれつきだから、他は知らない。これが普通なんだよ」
「なんでもできるんだ」
という腰から下が欠損している若者の短編ドキュメンタリー。
ザイオン・ザカリア・クラークはアメリカの26歳黒人男性で、なんとプロのレスリング選手だ。
下半身が無くてどうやって?と思う方はこの作品を観て納得して欲しい。
そのたくましい筋肉といったら、上半身だけで闘うのに充分な質量。練習風景は、当然ながらプロのスポーツ選手のそれであり、美しい。
そこまでたどり着くには、五体満足ではない分努力も工夫も折れない心も必要だったろう。感服する。
何度か育ての親が代わっているが、最終的に良い保護者に恵まれたこと、よいコーチに出会えたことが彼の人生に決定的な影響をもたらした。
何もかもあきらめて無気力になってもいたしかたないと思うようなハンディキャップだが、他人から手を差し伸べられた時にそれを受け入れるだけの器量が本人にあったのだろう。
自分の持てるものを私はきちんと活かしきっているんだろうか、と自らを省みずにはいられない、11分で目が醒める良作。