アラサーちゃん

ビリーブ 未来への大逆転のアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
3.5
法廷映画かと思ったけど、女性差別の時代に強く生きた女性の夢と葛藤を描いたサクセスストーリーという感じでしたね。

正直、法廷ものを観るときの楽しみって「スカッとジャパン」を観るときのような爽快感だと思うんですけど(最近スカッとの質があまりよろしくない気がするけど)、今回のスカッと感だけでいうとそこまで高くないかな。
あんなに負かしてやる感満載だった法廷内があのスピーチでこんなに変わるものかな~と。原文ままならもっとつきささったのかな。とはいえノンフィクションだからそうだったんだよねえ。演出不足だったのかな。なんだか肝心のそこがイマイチだったな。

でも、法廷映画は基本いいですよね。「ニューンベルグ裁判」や「アラバマ物語」みたいなザ・王道からはじまって、わたしの大好きな「情婦」もそうだし、近代映画でも法廷ものはブレない良さがありますよね。
法廷ものというくくりでいちばん好きなのは「ニュー・オリンズ・トライアル」ですが。

ボーッと見ていたのでとくに言及するところもないんですが、フェリシティ・ジョーンズ演じるキキ(愛称)の人間としての愛され力、魅力がすさまじいなと。それに尽きる。

ただただひたすら迷うことなく妻を懸命に支える夫。
反抗しながらも母を尊敬する娘。
敗けを承知で手を貸す友人。
最初は疑いつつも、彼女の人となりを知るなり全幅の信頼を寄せる依頼人。
一筋縄ではいかなさそうな重鎮すらも、彼女は虜にしてしまう。

きっと、無条件に人を惹き付けるなにかを持っているのね。

昨今、東大女子の話題もあったりして、賢い女性だからこその偏見や差別もさぞ多かっただろうと思う。そんな時代にじぶんの信念を曲げず、何年経っても諦めず、地道に歩き続けてきた彼女の精神力に感服してしまう。
子育てしながら夫の看護をしつつ、学生としてなすべき本業も決して怠らない。学生時代はさらりと流れていくけれど、「仕事」と「家庭」の両立、それも特殊な環境下(有名大学でトップの成績、夫の看護、ひとりで子育てしつつ女性に対して偏見差別が当たり前)でやってのけた彼女の偉大さ。
そして、女性への差別がなくならない社会に絶望し違う職につきながら、十年経とうが絶えず抱き続けた「弁護士になる」という夢。

あー、すごい。

作品として評価して感動!というよりも、ドキュメンタリーを観たり自己啓発本を読んだりしたときのような、なんともいえないやる気に満ち溢れています。28歳、がんばります。仕事やめるんですけどね。