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ジュディ 虹の彼方にのLEOのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
3.9
16歳の時『オズの魔法使』で一気にハリウッドのスターダムへと駆け上がり、その後各方面で数々の賞を受賞したものの47歳の若さで亡くなったジュディ・ガーランドの伝記的作品。

ストーリーは薬物依存や神経症に苦しめられるようになり、そのことがキャリアにも暗い影を落とすようになった晩年のジュディを中心に描いている。
2~3年前にこの『オズの魔法使』をDVDで観たけど、その作品の裏にこんな暗い影があったとは知らなかった。

「昨日は18時間も働いて自分の本名も忘れかけた」
とにかく数々の問題を起こしたことで有名な彼女だが、若い頃のフラッシュバックを観るに2歳からショウビジネスの世界に入りずっと過酷な競争とプレッシャーに晒されてきたうえに、極端なダイエットを命じ、十分な睡眠も取らせず、薬物を与えてでも働かせる大人たちに囲まれて育てば捻じれていくのも無理ない話かもというのがよく分かる。
輝かしい名声の代償に非人間的な扱いを強いる残酷な構造は、彼女の死から半世紀以上の時を経た現在もあまり変わっていないのが芸能界なんだよね…。

とにかく注目すべきはレネー・ゼルウィガーの演技。
ジュディ・ガーランドにはあまり似てはいないけれど、ボロボロのジュディが舞台に上がった瞬間に往時の輝きを取り戻し、堂々と歌い踊り、大スターらしい威厳と愛嬌を伴った圧巻のパフォーマンスを披露する。
しかも全ての歌唱シーンを本職の歌手による吹き替えなしで行っているのだから数々の主要な映画賞で主演女優賞を受賞したのも納得できる。

しかしレネー・ゼルウィガーってどうしても『ブリジット・ジョーンズの日記』のコメディエンヌ的なイメージが強いんだけど、『シカゴ』辺りからすっかり演技派女優路線を歩いてますなぁ。
LEO

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