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ジュディ 虹の彼方にのjamのネタバレレビュー・内容・結末

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

"客との間に生まれた愛をまだ信じてる"

あんなにもボロボロの状態でも
彼女はそう言った

そう
彼女…ジュディ・ガーランドを支えたのは愛

僅か47年の生涯
17歳でスターになる、その前から続く
苦悩に満ちた日々


お前よりもスラリとした美しい子はたくさんいる
誰にも負けない、その歌声を活かすために…
"ドロシーを太らせるな"
そう言われて、痩せる目的で麻薬を飲まされて
食べ盛り、そのふんわりした可愛らしい彼女を売り出すイメージ…ピザを頬張る普通の子…けれど、ピザは禁止
撮影で思わずハンバーガーにかぶりついたり、想いが溢れてプールに飛び込むシーンには胸が詰まりそうになる


そうやってジュディは
満たされない気持ちを埋めてくれる"何か"を追い求めていたのではないか

愛する人と結ばれ、その愛の結晶のごとく授かった子供たち
かけがえのないその存在さえも
彼女が薬物に頼るのを止めることは出来なくて



類稀なる才能
ひとたびステージの上に立てば、その歌声のみならず、人を惹きつけて止まない輝きを魅せるのに
薬物で傷んだ心と身体がそれを阻む

それでも
絞り出すように歌い出し
すると
みるみる抑えきれない感情が迸り、
観客の心を掻き寄せて

その瞬間
目には見えないけれど、そこには
確かに愛が生まれて


ステージ衣装を脱げば
47歳とは思えない
その老婆のような萎んだ容姿
それを体現したレネーの女優魂

レネー自身も、ジュディ程ではないものの、若くして成功した後の苦労を味わっているという
それ故にジュディが乗り移ったかのような演技に観るものは惹きつけられる


家を買い、子どもたちと暮らす夢
普通のしあわせを望むことさえ許されず

全てに見放され
行き場も無く、それでも最後に訪れるのは
汗も涙も飲み込んできたステージ

私を忘れないでね…

生命を削るような渾身の歌に
じんわりと涙が滲んだ


心は
どれだけ愛したかではなく
どれだけ愛されたかが重要だ
 〜オズの魔法使い より〜
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