静かで淡々とした進みの映画だったが、戦慄に近い衝撃を覚えた。
清々しい太陽光が差す質素な農村がラザロの正直で真っ直ぐな心を表しているかのようで、どちらとも美しいと思えた。
主人公ラザロを通して描かれるのは「聖人」の概念だと思った。聖人は神がかったイメージだけど、案外愚かに見えるものかもしれない。うら若いラザロは他人を全く疑わないし言われたことは何でもする。この人間味の無さは少し不気味だけど聖人と呼ぶにはピッタリだと思う。
何かと気遣ってくれる信心深いアントニアと侯爵夫人の息子タンクレディとのちぐはぐな友情の描写が唯一救いがあるように見えた。
舐めてたわけじゃないけど、予想外のさらに外を行った展開で参りましたという感じ。