木葉

COLD WAR あの歌、2つの心の木葉のレビュー・感想・評価

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)
3.6
原題は冷戦。
ソ連支配下の冷たい空気がひしめき合うポーランドで
電撃的に惹かれ合う男女。
2人が音楽を聴いたり、奏で通じ合う時が、唯一、抑制からの解放、自由を感じられる。
2人はお互いを求め合うんだけど、
作曲家ピアニストの彼は国を捨て、自由を求めフランスパリへ。
歌手の彼女は祖国は嫌いだけど、なかなか祖国への想いが断ち切れなくてポーランドから離れられない。
居場所が違っても
愛し合い互いを求め合う身体はずっと熱いのだが
心が通えない、行ったり来たりを繰り返す。
冷戦下の厳しい状況を、
暗いモノクローム、ジャズの哀愁やズーラの色気と情感たっぷりの歌い方がより切なくて、
やり切れない映画にしてくれるはずなのに、美しいだけで何か足りない。
生きにくい時代に翻弄される悲恋ものは、響くはずなのに前作のイーダと違って、力強さがなく、映像音楽だけスタイリッシュ過ぎて、
この時代特有の痛切さや重々しさが伝わって来なかった。
きっと絶望の中でのヒリヒリ感、熱い愛、強い想い、それを阻むものの描写が爽やか過ぎたのだろう。
木葉

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