井手雄一

ブラック・クランズマンの井手雄一のレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
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大分前に「グリーンブック」を息子と観て、アカデミー作品賞をめぐっていろいろ議論になってるのを聞いていたが、否の意見もわかるが、それもどうなのよ?と思いつつ、でもまぁ、グリーンブック面白かったしよかったけど単純にアカデミー賞取るような映画でもないいよなぁ、前年のシェイプオブウォーターもそうだったし(好きだけど)・・。それにまぁ、白人視点でやや偏見のある演出ではあるけど、映画としては悪くなかったし、ファレリー映画だから、こんなもんじゃない?でも、これにアカデミー作品賞与えるアカデミー会員ってどうなのよ?って、スパイク・リーの憤りに半分共感しつつも、現トランプ政権下のアメリカ人でも黒人でもない俺には正直実感としてその過剰反応はわからないのだったけど。
「ブラッククランズマン」を観たら、すっごく面白かったし、スパイク・リーが何怒ってるのかちょっとわかったので、これはやっぱ両方合わせてみるべきだと思った次第です。
もちろん当事者と共感者の視点というのは異なるものなのでしょうね。
10代のころ「ミシシッピーバーニング」を観て、最後のエンドクレジットで流れるゴスペルを聞きながら、何か昔の悲惨な絵巻物を見ているような感じだったものが、ブラックパワーとはこういうものさッっていうスパイク・リー監督のウィット溢れる視点で、現在進行形の現実は甘くないと思い知らされつつも少し救われて、人種でなく人間肯定しつつ共存はできる、そのために戦うというポジティブさを感じました。
同じ黒人同士や白人同士、ユダヤ系、各キャラクターの考え方の違いやイデオロギー、人格や性格、多人種国家のアメリカならではの人間らしさが良く表されてる映画だった。
井手雄一

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