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ブラック・クランズマンのトラインのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
2.5
コロラドスプリングの初の黒人警官は、いきなりの資料室の雑用に飽き飽きとしていた。所長に直訴した所潜入捜査官の担当となり黒人の過激な反差別団体の潜入を指示される。一定の成果を見せたことで次は逆の白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)に入会したいと本名で電話で依頼してしまう。相棒のユダヤ人警官も、同団体から敵視されているもののそれを躱しながら黒人警官が電話連絡で取り入り、ユダヤ人警官が潜入するという体制に。そんな中、黒人反差別団体の幹部の女性にも惹かれていき・・・みたいな話。



うーん、まぁさ、分かるよアメリカってそういう国だよねって言うのが二重三重に感じる映画。まずは軽ーーーく黒人の活動にも過激な所あるみたいな話を触るけど大半は白人至上主義はイカレばっかりで負け犬の気狂いばっかりだぜ!っていう話。白人いじりは良くて黒人イジリはタブーなんだよなアメリカって。って再確認しちゃうよねこう言うの。当然差別迫害は論外だし我々日本人も差別される有色人種だが、考え違いしちゃいけないのは、黒人からだって黄色人種は差別全然されるし、その辺の迫害だとかについての荒っぽさは昨今叩かれてる白人社会よりも酷い所がある。結局同じ文化に浸かっている倫理観においてどちらが正義なんて事は一概には言えないし、汚れた水に浸ったものは等しく汚れるものだ。



アメリカはそういう事実は完全に無視している。そういった点でこういうイデオロギーは嫌いだ。昨今の表面化したが、アメリカは元よりこういう国だ。それを見てこなかったし学ばなかったのは良くない。フォーリング・ダウンを是非見ていただきたい。90年代映画にも語られているんだ、古き良きアメリカは”白人中流階級”が一般的な社会だったのが、変わってしまったそういった社会の移り変わりに耐えれない男が描かれていた。差別は無から湧いた増悪ではない、歴史背景も有れば社会の変化によることもある。その理屈は生きているんだよ。この頃から"映画に黒人を必ず起用する"とか既にあったこともまた皮肉だね。



何十年も前からアメリカはずっとそうだった。それをもっと知らなきゃいけないと思う。最近のポリコレに始まるイデオロギーは異常だ。何故かというのを学ぶのにも、こういった映画文化は有用だと思う。どうやって病んだのか、果たしてどちらの考えがどう病んでいるのか。はたまた健全なものなんか無いのかも知れない。



今一度言うが、この映画はかなり偏っている。差別は双方向的なものでヘイトを向けあっている。どうか簡単に他者のイデオロギーに染まらないで欲しい。この作品でさえ正しさとはまた違う。自らの考えを深めずに人の考えで旗を振って誰かを傷つけるのは、最も救えない。



コミカルに始まったこの映画がラストに見せるものしか、この映画は語らない。コレ以外にはプロパガンタだったんじゃないかとすら思ってしまう。勿論白人による迫害差別は歴史にのこるものだし、擁護するつもりなんか一切ないが、ただ悪意を募らせるようなことだけをして良いことはない。



言っちゃ何だが、このような人々が我々日本人に在るべき人との関わり方を昨今啓蒙しているのは片腹痛く感じるのは私だけだろうか。
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