アラサーちゃん

ブラック・クランズマンのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
2.5
ちょっと期待はずれだったなぁという感想。
めずらしく評価低く、好きなこと書いてるのでこの映画お好きだったかたは読むの気を付けてくださいね🙇


プロットもいいし、描きたいことの熱量はものすごく伝わってくるんですが、結局それが全体的にまとまっていないなーという印象。

どうして? なにが? というシーンの連続。たぶん、シーンにしたいものが多すぎるせいで、どれもこれも唐突でカオス状態なんです。なにを観てほしいかではなく、なにを魅せたいか、という映画になってしまっている。自分が魅せたいもの、発信したいものを作ることは当然だけど、そこに重きを置きすぎて、観る人をおいてきぼりにはしないでほしいです。

個人的には、これがお気楽でなにも考えない脱力映画ならぜんぜんありなんですけど、実際にいた人物の話が基になっているものだし、依然としてアメリカ社会に残っている「白人至上主義」「黒人差別」をテーマにしたプロパガンダ的な映画なので、もう少しすっきりまとめてほしかったというのが正直なところです。

たとえばそもそもなんですが、情報部に配属されたロンが独断で突然KKKと接触するところからちょっとよくわかりません。接触が成功したところで、実際に面会することになったら会えないことはわかっているし、面会するのを白人捜査官に担当させるのであれば、電話の時点で白人捜査官の協力を得るのが普通だと思います。
それまで資料部でたまっていたフラストレーションや、出番のなかった正義感が彼にそうさせたとは推測できても、出だしを誤らなければもっと単純にうまく物事が運んだんじゃないかなあと思わずにはいられず。

実話が主ですし、ここがなければ元も子もないというのはごもっともなんですが、それならもっと納得のいくような、すっと馴染むような動機付けがあってほしかったです。
わたしはここですでにつまずいているので、このあとはもう穿った見方しかできなかった。

ロンとパトリスが心を通わせていく過程も物足りないし、爆破を含むクライマックスもいまいち盛り上がりにかける仕上がり。
黒人学生組織の集会のときのまるで「ボヘミアン・ラプソディ」みたいな映像とかよくわかんないし、個人的にはロンの潜入捜査の結果云々よりもKKKがフリップに与えた影響についてのほうがよっぽど重要だったのに、それも最後はわかりづらいエンディングになってしまっていてつまらなかった。

評価できるのは当時の雰囲気を感じられるような懐かしいサウンドのBGMと、ラストの実際の映像くらいでしたが、正直、あのラストの映像たちを評価するくらいならドキュメンタリーで一本丸々現代にはびこる「白人至上主義」について問題提起してもらえたら充分っていうかそっちのほうが断然よい(ドキュメンタリー大好き)

結局プロパガンダ性とブラックムービーのユーモアと、どっちつかずでうまく整合されていないような違和感を覚えて帰ってきました。

楽しいシーンもたくさんあったよ、あったんだけどね。とくにランダーズの役。とにかくクソな役だったけど、あれがいたことで楽しく観られたのは間違いないので個人的にはMVP!