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ブラック・クランズマンのarinのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.5
どこまで実話かわからないが、「KKKに入団した黒人」という悪い冗談みたいなコンセプトのブラックコメディ映画で、監督はスパイク・リー。

時は70年代で、いまよりも人種間差別が激しかったとされる時代。人種間の闘争は激しさを増し、ブラックパンサーが勃興。一方でKKKが人種差別的な言動を振りまいていた。

主人公の黒人刑事ロンは、KKKに登録し、言葉巧みにKKKのコロラドスプリング支部に入団を申し出る。実際に行くのは白人の相棒でユダヤ系。KKKはユダヤも敵視しているので、バレたら危険だ。

人種間の争いがテーマだが、エンタテイメント精神は忘れられておらず、笑わせるところも、正体がバレそうになるスリリングなシーンもある。最期はスカッとした終わり(といえば不謹慎だが)だったが、最期に挿入された実際の事件の映像をみれば笑ってはいられなくなる。

デモ隊に車が突入したシャーロッツビルの事件など実際のニュース。これは極右集団へのアンチ・デモであり、人種問題と必ずしも直結するものではない。人々の分断が広がっている。特にトランプ大統領の就任後、その状態は顕著である。今ならこの映画がこの時代設定で作られた理由がわかる。KKKのように人々の間に境界線を引く動きは、ここにきて強まっているのだ。そういえば、作中にも登場したのデビット・デュークも健在である。KKKをやめた今となってもその口ぶりは排外主義者そのものである。

これは日本にとっても対岸の火事ではない。
以前『ゴールデンカムイ』で興味を持って、アイヌをツイッターで調べたことがある。するとある北海道の議員が『ゴールデンカムイ』を攻撃しつつ、アイヌ民族を悪し様に罵っていて吐き気がしたものだ。ドナルド・トランプのエピゴーネンみたいな政治家だらけの日本で、どこで分断の火がつくかわからない。KKKみたいな連中がいる日本にしてはいけないのである。
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