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ブラック・クランズマンのKKのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.8
KKK(クー・クラックス・クラン)が題材の話だったから、かなり重い話なのかと予想してたけど、そんなことはなかった。わりとコメディチックで、ちゃんとした刑事もの。自分が知っているKKKの残酷なシーンはそこまでなかった。
警官の仲間も、1人を除いて、唯一の黒人であるロンにも平等に接していた点も、黒人であることによるハンデを感じさせなかった。黒人が街を歩くことすら恐ろしいと感じる緊迫感、KKKの恐怖、残酷さはなかった。ある種そこも期待していた部分もあったので、他の作品も見てみようと思う。

黒人のロンと白人のロン。どちらも白人至上主義を演じているが、本物のロンの方が黒人に対しての罵声を躊躇うことなく喋っているのが、面白かった。

ロンにとってはただの言葉であり、大いなる目的のためには、思いのない言葉には意味なんてないと思ってたんかな。

アダム・ドライバー演じるフリップ、カッコよすぎ。あの落ち着いた雰囲気、銃を突きつけられても冷静な姿、渋すぎん?
初めて観たアダム・ドライバーの映画は、『奇跡の2000マイル』。あの時も、何だか味のある俳優だと思ったけど、この作品ではカッコ良さが溢れ出てる。

この作品では、あのおばちゃんのおかげで、黒人は死なずに済んだけど、企みが上手くいってたら間違いなく死んでた。
実際には、そうやって死者が出てたと思うし、時代によってはそれでも、罪に問われないこともあった。
警官のロンですら、事件の現場にいただけで取り押さえられている。黒人の言葉は信じて貰えない、根深い闇もまだ残っている。フリップがユダヤ人という設定も、人種差別の根深さを象徴していた。


そして、ハッピーエンドで終わったと思ったのに、あのラスト。
衝撃的過ぎる映像。
今まで見てきたどんなホラー映画より、どんなサスペンス映画よりも恐ろしい、人間の悪意に満ちた残酷な行動。
1番恐ろしいのは、現実の人間。
「差別」を心底正しいと思っている人間の行動は、誰にも止められない。
歴史を繰り返さないためにも、歴史を知り、差別と闘う強い心を持たなければならない。
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