岩

存在のない子供たちの岩のネタバレレビュー・内容・結末

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

心に刺さりすぎていろんなことを思う映画だった。ゼインを演じている子が演技うますぎて、ずっと悲しくて切なくて心が痛い。

改めて日本は平和で幸せボケしてるなと思った。もちろん日本でも大変な思いもしている人はいるだろうけど、少なくとも私は現状が幸せで、どれだけ幸せな幼少期を過ごせたんだろう、とありがたく思った。

あんな小さな子供が、親を訴えて「育てられないなら子供を作るな」って、そういう考えに至ったゼインがかわいそうでしょうがなかった。親を心底恨んでいることが伝わってきた。地獄で生きている、って悲しい。

ゼインの生活力、生命力がすごい。12歳の子が1人で家を出て知らない女の人の家で生活することになる。子供だけど子供扱いされず、大人にならざるを得なかったんだろうな。悲しい。

ラヒルが不法滞在で捕まって、急にいなくなってからゼインはヨナスを1人で育てる。ゼインも子供で育て方も知らないのに子供が子供を一生懸命に育てていて、心が痛かった。家を追い出されても頑張って育てたけれどどうしようもなくなった。

道でヨナスを置いてゼインはどこかへ行こうとする。その様子を遠くからゼインは見てようとするけれど、ヨナスはゼインの元へ笑顔で近寄っていく。「だめだよそこにいて」と何度その場所に戻してもゼインの方に来る。ヨナスの足に紐をくくって放置しようとする。結局ゼインはヨナスを放っておくことができなかった。赤の他人なのに放っておけなくて、いい子すぎる。

バスの中でゼインが泣いていたところが本当に悲しかった。自分も生きるのに精一杯なのにヨナスも育てないといけなくて、絶望しかなかっただろうな。ヨナスをアスプロに渡した。これはもう本当にしょうがなくてよくここまで頑張ったなと思った。

ゼインはスウェーデンに行くつもりで家に身分証をとりにいった。しかし、身分証がなくて行けなかった。家に身分証を取りに行くと、妹が死んだことを知る。妹の旦那を刺した。ゼインは刑務所の中からテレビ番組に電話をかけ、両親を訴えることを伝える。

最後、身分証の写真なんだから笑えよって言われてニコって笑ったゼインが愛おしくて、絶対にここから幸せになってほしいと思った。
岩