このレビューはネタバレを含みます
仲の良い妹以外の兄弟を煩わしく感じる表情や、見捨てて二人で逃げようとするシーン。
ヨナスと共に過ごすうえで、忌み嫌っていた両親と同じことをするシーン。
主人公のゼインを取り巻く不幸な境遇、両親を訴えるという驚愕(しかし内容をみれば納得の)シチュエーションが目に付く。そのなかで荒々しく怒りを散らし、最後には責任から逃げ出す子どもであることを感じられることがこの作品への共感性を高めているように感じる。
一方で主張に対して反発や障害もなく周りに助けてもらいこれといった成長のシーンがないゼイン、唐突に子どもと再会するラヒルといった、ラスト付近の強引な幸せへの帳尻合わせは重いシーンの多い映画の視聴者への配慮なのだろうか。