マルケス

存在のない子供たちのマルケスのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.5
公開時に観たかったけど見逃してしまった作品。ようやく鑑賞できたけど、2回観て2回とも最後のゼインの笑顔で泣いた。すぐには感想も書けなくて、ようやく文章にしている。

これは少年ゼインの闘いの物語だ。ゼインが身分証を手に入れても、あの環境にいる限り闘いは終わらないだろう。子どもは労働力であり、悲しいかな“売りもの”になる(貧しい時代の日本もそうだった)。
だから学校に行かせる余裕もないのに次々と子どもを産む。同じように育ってきた大人達の意識を変えなければ、ゼインの涙もサハルの死も何度でも繰り返される。

シリア移民のゼイン君は撮影時12才。小柄で細くてもっと幼く見えるのに、瞳に宿す悲しみが大人びていた。
他の出演者も大半が似たような境遇からキャスティングされた人達。脚本通りに演じていると頭では分かっていても、今、起きている情景を切り取ったような切実なリアリズムに胸が痛い。

やはり映画館で観るべきだった。収益と観客動員数に微力ながら協力すべきだった。本作を撮ると決意したラバキー監督の本気度に頭が下がる。
マルケス

マルケス