シネマスナイパーF

存在のない子供たちのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
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心はないのか

考えてみてくださいよ
虐待死や餓死は最早日常茶飯事、最近は車に置き去りで熱中症で死亡なんてニュースもありました
ゼインの言い放った言葉、遠い国の他人事に思えないでしょ


あ、こいつらまだ増やすつもりだなってシーンはモロにありましたが、やっぱりかと
それを受けてゼインが母親に放った言葉が強烈すぎて…今年一番の名台詞出た
両親を訴えるにあたる要因である、妹がされたことも、同じ線上のことでありいかに責任のない社会がそこにあるのかを物語っている

しょうがない、生きていくにはこうするしかないっていう親の言い分もわかるが、そこにある不幸を一身に受けなければならないのは誰なのか、考えてくれない
同じく子供を持つラヒルがあらゆる手を使って子供のために生きているのは対照的だけど、どちらも根付く問題は貧困であることに残念ながら変わりはない
心苦しい


細かい描写や何気ない台詞一発で状況がはっきりとわかる
冒頭、13歳ぐらいだと思うと医者が言っていますが、いやいやその体つきは普通の年頃の子とは思えない

異常なまでに物がわかりすぎている目が象徴的なように、主人公ゼインの存在感が圧倒的
彼に限らず、演者が皆、厳しい現実を今生きている人々だからこその鬼気迫るリアリティ


希望を感じさせながらもこれ以上ないぐらい切なく心を掴まれるラストショット
これ以上多くを語るのは野暮ってもの
今一番観るべき作品