銃を持っても寿命が縮まらなかった男女の悲劇。この目的地の喪失加減は「青の稲妻」と明らかに対応していました。フェンス越しにあの二人がチラッと映りましたしね。本当ジャ・ジャンクーはどこにも行けないし、それがいい。
初めてチャオが一人で銃を握るシーンが決定的で、死ねなかったのにも関わらず、死ねなかったからこそ永遠に死んだように彷徨うことになるのかと納得するものがありました。チャオが斜めに構えて撃った弾丸の後の静寂が素晴らしかったです。
過去は水の底に沈んでいく一方で、その上でかつての恋人に過去を探すチャオに、しっかりと叙情性を持たせていた三峡ダムのシーンは、「長江哀歌」より断然上手くいってましたし、ビンにまた置いて行かれたあとのチャオを監視カメラの粗い映像の中に置き去りにしたラストも印象的でした。