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バハールの涙のmiのネタバレレビュー・内容・結末

バハールの涙(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ISとの戦いに挑むクルド人女性の物語。
戦争のストーリーで主語が女性で語られることは少ないが、今作では実に力強く描かれている。
戦うことになったいきさつまでを現在からどんどん過去を振り返っていく構成。
正直この構成が結構ややこしく、というのも過去パートがあまりにも長い上に頻繁に現在と行き来する。なので、構成にはやや難があると思われるが、描かれている事象はとてもリアルで残酷で見ていてハラハラする。

そして、記者の目を通しての彼女たちの戦いという構造が今作のジャーナリズム性の高さをワンランク上のものへと昇華させている最大の特徴といえよう。
彼女が終盤に、「真実を伝えることに意味があるかわからない。ワンクリックしたら終了。人々は悲劇から目を背ける。それでも私は真実を伝え続ける」といっていたが、これこそ監督の思いを代弁するものであり、いい役割を果たしている。

脱走の際のセリフで、「人生で最も重要な30mよ」には胸が震えた。
自由を当たり前に手にしている自分たちからは想像もつかない言葉であり、それだけ自由を掴むことが難しいことが明確に示されている一言である。


2019劇場鑑賞8本目
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