Pinch

イメージの本のPinchのレビュー・感想・評価

イメージの本(2018年製作の映画)
4.4
1930年生まれのゴダールは、第二次世界大戦の悲劇を直に経験している。どうしてもそこから離れられず、逃げなかった。あのようなことが実際に起こるということは、人間の劣等性の証明である。したがって、彼の映画は基本として人間の醜悪さを基盤に置かざるを得ない。

心をとらえる名言が数多く語られるが、ヨーロッパの背景と抽象的な言語使用ゆえに、私のような通常の日本人には難解過ぎる。数年かけて一つひとつの言葉を辿る研究には価値がありそうだ。しかしながら、ヨーロッパは私たち日本人の背景ではない。日本の歴史の歩みという文脈で、感性の鋭い日本人が、自らを語る同様の作品を創作し続ける必要がある。明治以降今現在までの流れは、未だに正しく把握されていないのではないか。思考を捨て去り、傲慢で愚かな特権階級に弄ばれるままでいいのか。日々綻びが顕在化している。この行く末は明らかだ。だが諦めてはいけない。光は微かだが、希望は存在し得るのだから。

この映画が促す思考は、例えばこういうことなのではないでしょうか?
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