【GODARD = ≪GOD ART≫】
昨年のカンヌ国際映画祭で、パルムドールを超える最高賞スペシャルパルムドールを受賞し、ある意味三冠王となったゴダール。昨年の審査員の決断は英断で、単純にパルムドールを与えると「スノッブめ」と言われるところを、貧困お涙頂戴な勝てる映画『万引き家族』にパルムドールを譲ったのはなかなか上手いなと感心してしまった。
そんな問題のゴダールのLe livre d'images(=絵本)こと『イメージの本』は、流石GOD ARTのゴダール先生。一時期ロッテントマトの一般観客支持率0%を獲得しました。
不安を抱えながら観たのですが、うん「ちょっと何言ってるか分からない」映画でした。
ではつまらないのかといえばそうではない。狂気のコラージュとの対話を通じて自分の中に物語が生まれる面白さがあります。
例えば、サメ映画クラスタが観れば、一瞬だけ挿入される『ジョーズ』から、『デビルシャーク』における刹那なサメ描写の切なさを論じているのではと思わず憶測してしまうだろう。
シネフィルならまるで俺らの『レディ・プレイヤー1』はここにある!と『キッスで殺せ』、『大砂塵』、『霧の中の風景』といった作品の残像にいちいち興奮するだろう。
では、ブンブンは?
ブンブンは、ゴダールの悟りに魅了されました。ゴダールは引用することでしか映画を作れない自分を恨み、イーストウッドやスピルバーグに嫉妬していました。
そんな彼は後期になると、嫉妬するのを止め、開き直りました。結局、何をしても《REMAKE》なんだと。
彼は、無数の内なるアーカイブをDJのようにサンプリングする技術を身につけ、またゴダールという名のブランドを確立させました。恐らく、他の監督が撮っても許されない作品でしょう。
プルーストは『失われた時を求めて』で、究極の芸術は森羅万象足しあわせても、その先にあるものだと語っていましたが、まさしく『イメージの本』は他の監督が行き着けない場所へ我々を導いてくれました。
結局のところ、対位法や映画の中の列車の動きとイスラム世界がなんで関係あるのかは、分からないし正直1%も理解できていないのだが、これは必見でした。
ゴダールにはVR映画を作ってほしいなー