喜連川風連

イメージの本の喜連川風連のレビュー・感想・評価

イメージの本(2018年製作の映画)
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巨匠ゴダールの走馬灯なのだろうか?

繰り返されるイメージの羅列。
古い映画フィルム、絵画、書物、テキストを分割配置している。

全体は5本のシーケンスで成り立つ。
1.リメイク。
映画がオマージュやパロディ、リメイクを繰り返すように現実世界の愛や悲しみもリメイクされる。

2.ペテルブルク夜話

3.線路の間の花々は旅の迷い風に揺れて

4.法の精神

5.中央地帯

それを束ねるラストシーン。
中東での描写。

自分ごときの教養と知性と感性ではその半分も理解できてないだろう。

だが、映画で世界を救おうとしたゴダールの気概・人生を感じた。

だが、所詮、自分の作ってきた映像は中東で起きているあらゆる現実的戦争と比べれば、切り取られた虚構であって守られた中でしか映像を撮っていない。
その懺悔でもあるのだろうか?

その中であっても、その希望のバトンは誰かに受け継がれるし、そうであって欲しいと願うゴダール。

最後に倒れて生き絶えるショット。

これが遺作・・・なのだろうか?

カンヌ映画祭がパルムドールを超える賞として、スペシャルパルムドールを送ったのも分かるような気もする。

点数で評価するとか、賞を送るとかそういう文脈にすらのらない映画だ。
喜連川風連

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