シネマスナイパーF

ドッグマンのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ドッグマン(2018年製作の映画)
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情のないジャイアンと金のないスネ夫
もしくは情のないジャイアンと何もないのび太
実はマルチェロもなかなかに同情しにくいゴミクズに近い
なんなんだよマジでっていう内容の話が暗ーい街で進むっていうもう何?なんなのマジでっていう映画
溜め息しか出ない


犬同然だった男が噛み付いた話といえば聞こえがいいですが、人間なんですよね彼等…
犬の方がまともだぜ多分
マルチェロは手放しにいい奴とは呼べない
犬を愛する男が犬を冷凍庫に閉じ込めた男を守るために一年服役する理由なんて普通なら思いつかないが、マルチェロの存在意義が生じてしまうぐらい歪んだ上下関係がそうさせているのであって、追い込まれた弱者が起こす行動を「優しさ」と呼んでしまうことは心底危ういと思う
シモーネを野放しにした罪は大きいはず
でもやっぱりマルチェロはその歪んだ構造の被害者であって、哀しい男である
チワワを救ったのは紛れもなく良心だし、娘のためならなんでもする姿勢に文句は言えない
シモーネの方は清々しいクズさだけど、マルチェロの方は見ている方を微妙な気持ちにさせる本当に嫌〜なクズさ
誰にでも理解できてします、気持ちが分かってしまう小心者だから
結論、底なしの馬鹿としか

近頃「人間ってステキ!救われる運命ってステキ!」という映画を続けて観ていたせいで精神的に応えたのかなと思いましたが、普通に考えれば彼等はたまたまいい出会いといい運命の上を歩いていただけで、クソみたいなレールの上でクソみたいな時間を過ごしてそのまま終わってしまうマルチェロもいるんだよなと思い出した

無常…と画面そのものが語っているかのような、長いカットそして遠景
かなり抑えた音楽
このヒリヒリした虚脱感、久しぶりだわ
淡々と静かに不穏な時間が過ぎていき、気がつけば事は起きていてもう戻らない
ヨーロッパ映画は長回しが印象的だな本当に


…やっちまったわ、このあとどうすんねや、ワシ
〜完〜