次男

アメリカン・アニマルズの次男のレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
4.1
社会からあなたは特別だと言われて育ち、それでも実際に社会へ出たら、ちっとも自分は特別じゃないことに気づく。そんなモラトリアム期に行き着く先の景色は、モノクロの世界のようにいたってシンプルな大人の世界です。自分の可能性が閉ざされるという点で、モラトリアム期は青春の終わりとも言い換えられます。
劇中の四人のように、青春の終わりに足掻き、それでも自分は特別であると信じつづけたいと強く願う人も多いでしょう。ただし、一度そういう状態になってしまうと、見たいものだけを見続け、挙げ句の果てには、突拍子もない出会いに対して過剰に運命性を感じてしまいがちです。犯罪や新興宗教は、運命性を堅く信じるというナルシシズムを加速させる装置です。ですので「あの日、あのタイミングで、フラミンゴを見てしまったから仕方なかった」なんてことは決してなく、窃盗という最後の青春をフラミンゴのもつ運命性に託したかったというのが深層心理上の本音だったのでしょう。
特別な犯罪者になりたいけど、家族に期待されるように正しくありたい、という葛藤に苛まれ、終始顔色の悪いバリーコーガンを見続けるのは特に苦しかった一方で、最後にB Jさんご本人の声が聴けたのは、唯一の救いでした。
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