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アメリカン・アニマルズのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

学生がお宝を強奪する、いわゆる青春ケイパーもの。だが青春映画としてもケイパー映画としても酷く中途半端な出来。

実話を元にしており実際の本人たちが劇中にインタビュー形式で登場する構成なのだが、これが映画としての没入感をかなり削ぐ。しかも恐るべきことに、本人の方が劇中の俳優よりも魅力的に見えるのだ。特に主人公っぽい真面目そうな青年。何であの人物に対しバリー・コーガンをキャスティングしたのか、わけがわからない。こう言っちゃ悪いがバリーのルックスは本人よりだいぶ劣っているので、劇中のシーンに戻るたびになんだかガッカリしてしまう。

そしてこれが致命的なのだが、本人インタビューに頼るばかりで、登場人物の描き込みがまるで出来ておらず、人物造形が非常に浅い。各キャラクターのわかりやすい個性づけはされているが、全員が初登場時の印象のまま映画は終わってしまう。その上好感を持てる人物がまるでいない。どいつもこいつも考えが浅い上に保身ばかり気にするクズ揃いで、感情移入ができないどころか観ていてただただイライラする。

強盗計画も勢い任せのお粗末なもの。あまりに頭が悪すぎる。実話だから変えようはないのだろうが、もうちょっと見せ方が工夫できたんじゃないのか。こんなアホでずさんで意気地なしのコソ泥の話、よく映画化しようと思ったな。アニマル並みに馬鹿すぎるってこと?

反省シーンも長いし、ろくでもないことを考えずに大学で真面目に勉強しましょうね、という教育メッセージを伝えたい映画なのだろうか。なんだか「世界まる見え」的な、再現VTRで構成されているテレビ番組を観ている気分だった。どうせなら中途半端にシリアスにせずに、おマヌケなナレーションとかSEとか付ければよいのに。最後に「その後」の人生が明かされるが、全員が本を書こうとしていたり映画を撮ろうとしていたり絵を描いていたり、なんというかまだ夢を見て生きている感じが、甘ったれているようにすら感じてしまった。とにかくイラつく作品だった。
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