イロカワ

アメリカン・アニマルズのイロカワのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
5.0
 青春映画の傑作。アメリカングラフィティと15時17分パリ行きを混ぜて不思議な味付けにした映画。
 若者には特別な人間になりたいという気持ちが必ずある。何も起こらない日常に怒りすら覚えていて、何かを待っている。そんな彼らがある冒険を通じて本当の大人に成長する。まさに青春映画のプロットだが、結末があまりにも苦い。
 映画の中で印象的なセリフで、「10年後にやっていれば良かったと後悔したくない。」というのがある。この映画は10年後の本人達も出演しているのだが、彼ら全員がやらなければ良かったと後悔している。
 人間の理性に出来ることは「止めること」だけなんだそうだ。欲望や欲求など野性的な自分の資質、行動を抑制できるから人間は他の動物と違うらしい。その意味ではアメリカンアニマルズというこの題名は、単純に本に描かれた鳥たちのことではなく、自分を抑制することが出来なかった非人間的な彼ら自身のことを指している。
 彼らと自分を隔てるものなんてなにもない。たまたま私は犯罪を犯してないだけだと思った。
イロカワ

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