hachi

アメリカン・アニマルズのhachiのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

インタビューと再現ストーリーがうまく絡み合ってテンポよく進んでいくのがとても見やすく良かった。
本人達のインタビューだけではなく、本人と本人役の役者さん2人が対面するシーンは新しいなぁと。特に犯行前の年寄りスペンサーが道端の若者と長いこと視線合わせてなんだろ?と疑問だったシーンが、実際のスペンサー本人だったと後になって気付き鳥肌立った。その視線の意味に色々な思いを巡らせる事ができて楽しい。
「自分としてなぜこの町に生まれたのか」、人生を変えるような「アクシデント」を待っている、という誰しも普遍的に感じている事を同じように普通の若者として思っている様子から、この事件を起こした人達も特別ではなく私達と何ら変わらない人達なんだと、強く印象付けられた。彼らは思っているだけではなく行動を起こしたにすぎない。
ウォーレン本人が出てきた時の、腕のティラノサウルスのタトゥーを自慢する所で何こいつヤバイ!感が盛り盛りで思わず笑ってしまった。そのウォーレンも犯行時司書さんを傷つけてしまった事を今もなお後悔している様だったのを見ると、根っからの悪人ではないんだなぁと思った。本人達は暴力により一切傷つける気がなかったとしても、相手は"襲われた"という事実だけで傷つくもので、傷つけるつもりはなかった・傷つけずに出来たと思い込むのはやった側のただの自己満足の部分もあるんだなとインタビューから感じた。家族の事も傷つけているしね。
冒頭でスペンサーとウォーレンが逃げた後車の中で「I'm alive」と歌うシーンは刺激的に生きたい彼らの気持ちが表れているようでぐっときた。その時の2人の笑顔がまた溌剌としていて良いんだ…。
それにしても直接的な実行犯になったエリックがとんだ外れくじをひかされた印象が拭えない…参加したのもウォーレンとの友情を取り戻すためって言っていたし。チャズも自身が実業家で結構並外れた生き方をしていたと思ったけどそれでも泥棒に加担するなんてどういう心境?別の刺激が欲しかった?とそこが知りたかったな〜。
スペンサーとウォーレンの証言が食い違って、表現として2通りの映像を流すというのも人の記憶の曖昧さがリアルで面白かった。
途中オーシャンズ11の主題歌が流れる中、鮮やかに盗んでいくシーンがあったけど3人の妄想とはいえ曲も合わさって格好良かった。けど現実は思い通りにはいかないっていう事だ。夢を見過ぎていて、人とは違う特別な自分達にきっと酔っていたんだろうな。
犯行時の緊張感やパニックになる程の焦燥感は見ていて本当ハラハラしたし自分がやっているようで気分が悪かった。その後のいつバレるとも知れない状況の中でボロボロになっていく姿も結構しんどい。
今を生きている私達と何ら変わらない若者達と考えると本当しんどいなぁ。でも今本人達それぞれが目標を持って先に進んでいるのは良かったと思う。
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